今日もお疲れ様でした。
人生にはたくさんの選択の機会が存在します。そのすべてを思い通りに選択するわけにはいかず、自分の本意ではない選択をしなければならないこともあります。そんなときに支えになるような言葉を今日は紹介します。
白猫(ネプチューン)
「人生には不本意な選択をしなくてはならないことが往々にしてある。そういう場面に陥った時、大事なことが3つあるんです。」
「一つは本音を認めること 二つは、その本音を発している自分に対して事情をしっかり説明し、そして謝る。三つは、自分の中で決意表明をする。」
「こうすると、自分を蔑ろにせずに、被害者にもならず、新しい未来をあるいて行けます。」
「この三つができていないと『やりたくない』の心を司る自分がぐずぐずと足を引っ張るんですよ。」
望月麻衣(2021).『満月珈琲店の星詠み~ライオンズゲートの奇跡~』 株式会社文藝春秋
海王星の遣いであるネプチューンが作中で語った言葉です。
少し長いうえに原文ママではないのですが、大切だと思った言葉になります。
<言葉についてのあらすじ>
川田藤子は四国にある地元で一人暮らしをしている50代の女性。夫はいないが、東京で暮らす一人娘の沙月がいる。
以前は京都で工務店に勤めながら沙月を育てていた。母子家庭ではあったが、図面を書くという好きな仕事をしつつ、職場の同僚にも恵まれ充実した日々を過ごしていた。しかし父親の死をきっかけに母のいる地元に戻り、その後に母も死に、一人暮らしとなる。
地元では今までのスキルを活かせる仕事が見つからず、また、母の介護もあったためパートを転々とした。そして母の死後も自分の体に鞭打つような仕事をしていた。京都では充実した生活をしていた分、どんどん自分がくすんでいくような気がしていた。
ある夏の日、藤子は朝から忙しなく動いていた。掃除をして、布団を干して、様々なことに考えを巡らせながら動き回っていると、ズキズキと頭が痛むのを感じ、軽く眩暈をもする・・・。
「そういえば朝から何も飲んでない」麦茶を飲もうと、冷蔵庫からポットを取り出したその時、テレビからある衝撃的なニュースが流れる。放心状態となり、ポットを床に落とし麦茶が床に撒かれてしまう。麦茶を拭きながら頭を整理しようとするが、頭痛や眩暈もあり、思考が纏まらない。やがて意識が途切れる・・・。
気が付くと藤子は浜辺にいた。砂浜にトレーラーカフェがある。白猫が店員の不思議なカフェだ。そのカフェで、藤子はその白猫(正体は星の遣いのネプチューン)との対話をする。その中で登場するのが紹介した上記の言葉たち。白猫は言う。「あなたは自分を偽り、自分の心を蔑ろにしている」と。
藤子は事情があって、結婚をせずに沙月を産んだ。そのことで親に申し訳ない気持ちがずっとあった。
父が死に、母から「同居してほしい」と頼まれた時、本当は居心地の良い京都で生活したかったが、親不孝だった分の償いの気持ちで地元に戻った。しかし地元での生活は幸福を感じるものにはならなかった。
藤子は白猫の言葉を受けて、自分で地元に帰ることを決めたのに、心のどこかで自分を被害者のように感じていたことに気づく。
自分を偽らないために、納得できてない心があるのなら、その心に自分でしっかりと説得する必要があるのだ。「帰りたくないよね。でも帰らないといけないんだ。ごめんね」と。
この不本意な選択をするときに大事な3つのことをして、自分の心を一つにする。そうしなければ「帰りたくなかった」の気持ちがずるずると足を引っ張り続け、それは大きな歪みとなり、幸せからは遠ざかってしまうと白猫は言った。
<まとめ>
自分のしたい選択だけをして生きていくことが出来れば、人生は楽かもしれません。
しかし人は人間関係、金銭的な問題など様々な事情により、自分の本音とは異なる選択をしなくてはならないことが必ずあります。でもだからといって、いつまでも過去の選択を悔やんだり、その選択をした自分を責めたまま生きていくようでは幸せになることは難しいと思います。
また、無理やり自分を納得させても、どこかでモヤモヤは残ってしまうものです。自分の本心に背く選択をしなければならなくなったとき、負の感情に自分が蝕まれないためにも、自分の心と対話してみましょう。
自分の本音を無理やり押し殺すのではなく、説明して謝って、自分の心を一つにする。そうすることで選択した先の未来が少しでも幸せなものになるかもしれません。
今回も紹介した言葉にフォーカスしたこともあり、あらすじをだいぶ端折ってしまいました。この川田藤子の物語は 星の遣いであるネプチューンの力もあって、過去や未来など時を跨いだとても不思議で感動的なものです。気になった人はぜひ読んでみてください。