今日もお疲れ様です。
自分は他の人と比べて、人から可愛がられたり、好かれるような人間ではない。でもそれを気にして自分を偽って、無理に好かれるような努力をして空回りして疲弊してしまう。
今日はそんな悩みを持つ人にそんな人に届いてほしい言葉を見つけてきました。
猫の魅力は、自分が自分で在ること。それはきっと、猫だけのことではない。
自分を偽らずにいる存在は、どうであろうと、魅力がある。愛されもする。
望月麻衣(2022).『満月珈琲店の星詠み~メタモルフォーゼの調べ~』株式会社文藝春秋
これは『満月珈琲店の星詠み~メタモルフォーゼの調べ~』におまけの短編として収録された『幸せなしもべ』というお話に出てくる言葉です。主人公の女性が猫との共同生活を通して、大切な気づきを得るお話です。
<言葉についてのあらすじ>
高階(たかしな)千佳には姉が一人いる。一つ年上の姉は愛らしく無邪気で天真爛漫。しかし千佳は姉とは正反対で表情に乏しく、無愛想にみられ、ぶっきらぼうな印象を与えてしまう。
子供の頃よく見ていた童話の登場人物に例えるなら、姉は物語の最後に王子様に選ばれる主人公のような女の子で、自分は使用人Aといったモブキャラだ。実際に姉は素敵な男性と結婚し、出産も控えているが、千佳はそういったことはなく坦々と日々を過ごしていた。
そんな千佳は姉の飼っていた猫を一時的に預かることになる。姉の家ではその猫は王子様と呼ばれているらしく、さらに猫種がペルシャであると聞かされていた千佳は、白いふわふわな毛をしたセレブのような猫が来るのだと想像していた。
しかしやってきたミャオという名のその猫はこげ茶の虎柄の毛で、尾はタヌキのように太い、目は据わっていて無愛想な印象。千佳は思った。あれ?ちょっとブサイクかも?と・・・。
そんなミャオとの共同生活が始まり、じっくり観察していると、猫は常に自分の感覚を大切にしているなと感じた。
部屋の隅でひっくり返って寝ていたかと思うと、寂しくなったのか急に「みゃあああ」と怒りながらこっちにやってくる。餌や水をあげても、表情は常にムスッとしている。
媚びることなく、計算もせず、取り繕うのでもなく、ただ自分で在る。常に不機嫌そうな顔をしているし、自分勝手でマイペース。
でも不思議なことにそんなミャオをとても可愛いと、千佳は思っていた。
ミャオから感じたことを職場の上司と姉に話すと、どちらからも「まるで千佳のようだ」と言われる。「媚びるわけでなく、不器用で、時々無愛想。特別可愛がられるわけではないかもしれない。だけど、そんな千佳が信用できるし、好きだ」と。
そこで千佳は気づいた。自分も、不器用で無愛想で媚びたりしない、そんなミャオだから愛おしいと思っていたのだ。千佳は今まで姉と比べて自分にずっと劣等感を持っていた。「こんな自分じゃダメだし、誰も愛してくれない」と。
でも愛されるのに愛想とか外見とか関係ない。自分を偽らずにいる存在には魅力がある。千佳は猫のミャオと過ごしたことで、今までずっと否定していた自分の存在を、在り方を肯定できるような大切な気づきを得ることができたのだった。
<まとめ>
他人と比べて劣等感を抱き、苦しんでいる人は多いと思います。子供の時から兄弟姉妹も含め、他の子供たちと点数や成績など、あらゆる比較をされて育つのだから仕方ないのかもしれません。
でもだからといって自分ではない誰かを無理やり演じようとしても苦しくなるし、「こんな自分はダメだ」と自分を責めたり、卑屈になったまま生きても、幸せな人生ではなくなってしまうと思います。
自分が持ってないものを持っている他人と比べてしまうと、どうしても自分はあの人より愛されない、認められないと劣等感を抱いてしまう。
しかし自分は自分。あの人みたいにたくさんの人からは愛されないかもしれません。それでも自分にはその人にはないものを必ず持っており、それを認めてくれる人は必ずいます。劣等感から卑屈になっていると、そんな認めてくれる人たちも離れていってしまうでしょう。
- 他人と比較して劣等感を感じ続けて卑屈になる
- 自分を否定し自分ではない誰かを無理やり演じる
このどちらをしていても、自分を苦しめる結果となってしまいます。
周りと比べて苦しむあなたへ、自分の心に猫を住まわせてみましょう。自分らしく在ることを自分で否定しないように、自分のペースで生きていく。そうすると今よりもきっと心が楽になるはずです。