自分の気持ちに素直に生きよう 『満月珈琲店の星占い』

  • 2025年8月17日
  • 2025年9月7日
  • 小説
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 今日もお疲れ様です。

 あなたは家族など近しい人に自分の素直な気持ちを出せずに苦しい思いをしていませんか?
 そんな人は自分の心を大切にできていないかもしれません。

 三毛猫のマスター

 「心を大切にしなければ、なにもかもうまくはいきません

 「人はどうしても取り繕わなければいけない時も多いでしょう。ですが、どうか自分の心だけは偽らずにいてください

 望月麻衣(2025).『満月珈琲店の星占い』 株式会社ポプラ社

『満月珈琲店の星詠み』シリーズの大きなテーマである、自分の心を大切にという言葉です。

<言葉についてのあらすじ>

 渡瀬真帆は中学生の女の子。

 京都にある音楽科の高校にこの春から入学するため、母娘で仙台から京都へ越してきた。

 母は外科医をしており、真帆の高校進学に合わせて、京都の病院へ転勤することになった。

 真帆が仙台から遠い京都の学校を志望したのは、母から離れるためだったが、外科医をしている母も、真帆の進学に合わせて京都の病院へ転勤することに決めたらしい。

 父は5年前に交通事故で他界している。
 当時は普段明るい母が別人のように落ち込み、『医者なのに、一番大切な人を助けられなかった』と日々嘆いていた。

 それから母はいっそう医師としての仕事に打ち込むようになったと真帆は感じていた。


 引っ越し当日の夕方、真帆は満月珈琲店に招かれ、出されたバナナホットケーキを食べる。

 帰り際にマスターは「今日のメニューには魔法を込めたので、その効果を感じたら明日もここに来てください」と話した。


 翌日、起きた母が眠そうに「今日は休みだし、一緒に京都を観光しよう」と言ってきた。

 そこで不思議なことが起こる。

 『いいよ。無理しないで』と言おうとしたのに「本当に?行きたい。嬉しい」と思ってもみない言葉が真帆の口から出てきたのだ。


 京都観光中、父の話になった。

 父は真帆のピアノの発表会の日に交通事故にあった。
 外せない仕事があり、終わったらすぐ会場に行くと話した父に、真帆は「絶対来てね」と伝えた。

 あの後から父が死んだのは自分のせいだと真帆は後悔していた。
 「絶対来てね」なんて言わなければ・・・。

 そして母も忙しく働かないといけなくなった。
 それに現在母には恋人もいたが、自分がいると自由に会えない。

 「ごめんなさい」

 「お父さんが死んだのも、それでお母さんが苦しんだのも私のせい。私がいるとお母さんは自由に生きられない。だから・・・遠く離れた京都に行こうとしたのに」

 マスターの言う魔法のおかげか、真帆はずっと言えなかったことを母に伝えられた。

 それに対して母は、父の死は真帆のせいでなく事故のせい、自分が仕事漬けだったのは父の死を少しでも忘れるためだったと真帆に伝える。

 続けて、子どもは一緒にいられる時間が少ないって気づけたから、これからは仕事も抑えて恋人よりも真帆との時間を大事にしたいと母は言った。

 「私は真帆のおかげで生きていられる。私は真帆に『ありがとう』って思ってる。だから『ごめんなさい』なんて言わないで・・・」

 母の気持ちを知った時、真帆の目からは堰を切ったように涙が溢れた。


 その夕方、再び満月珈琲店を訪れると、マスターは言う。

 「自分の心を大切にしてください」

 真帆は本当は母と一緒にいたいのに、その心に蓋をしていた

 それは母のためだと自分に言い聞かせて、自分の心を押し込んで、誤魔化し続けた。

 でも今回の出来事で、母と一緒にいたいという自分の心に正直になることができたのだった。

 

<まとめ>

 人間関係、どうしても取り繕わないといけないこともあります。

 しかし、家族などの近しく、長い付き合いである関係で自分の心を偽り続けていると、お互いに心が擦り減ってしまいます。

 真帆のように、相手のためと思うがあまり、自分をずっと責めているようであればなおさらです。

 あなたは相手と対話をせずに、相手にとって自分がいると迷惑なんだ、自分は必要ないんだと、勝手に決めつけていませんか?

 それは相手にとっても自分にとっても良いことではありません。

 
 自分の心に素直に行動するのは、関係が悪化する可能性もあるため、とても勇気がいると思います。

 でも反対にです。

 自分の心に素直に思いを伝えて受け入れられなかったのであれば、逆に諦めがつくと思いませんか?

 もちろん、否定されたときは、とてもつらいと思います。

 でも本音で伝えてダメだったのであれば、家族や友人の場合は遠くに越すなど距離を離す、職場なら退職するということを、それはそれで潔くできるのではないかと思います。


 そう簡単にはいかないと思う人もいるかもしれません。

 それでも自分の心を偽ったままでは苦しい、前に進めないと感じたのであれば、勇気を出すことが必要だと思います。

 真帆も、母に気持ちを伝えないままでいたら、高校で満足のいく演奏もできず、勉学も手につかず、つらい生活を送ることになっていたかもしれません。

 もし今あなたが自分の心を偽り、苦しく感じているのなら、勇気を出して自分の心に素直に行動してみましょう。

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