今日もお疲れさまです。
今日は人間関係の作り方に悩む人に向けた言葉を見つけてきました。
あなたが職場などで、人とどう関係を作っていくか悩んでいるのなら役に立つかもしれません。
神実(かんざね)ミズハ
「・・・相手のとの適切な距離を測るところから始めたらどうだろう。和を生み出すには適切な距離がある。近すぎると・・・壊れることもある」
蒼月海里(2024).『星屑鉄道の鉱石カフェ』株式会社マイクロマガジン社
堕天使で、星屑鉄道のシェフでもある神実ミズハが部下との関係に悩むサラリーマンに伝えた言葉です。
<言葉についてのあらすじ>
佐藤はアラフォーになるビジネスパーソンだった。
課長である彼は今日も夜遅くまで働き、他課で課長をしている同期と飲みに行き、職場の愚痴を言い合って帰路についていた。
佐藤は仕事である悩みを抱えていた。
本当は今日、同期に悩みについて相談したかったのだが、お酒を飲んだこともあり、お互いに仕事の不満をぶちまけ合うだけで終わってしまった。
晴れない気分のまま駅で帰りの電車を待っていると、ホームになぜか蒸気機関車がやってきた。機関車は佐藤の前で停車し、少しして客車の扉が開く。
特別運行の限定車両だろうかと疑問には思いながらも酔った勢いもあって、「まあ、何とかなるか」と佐藤はフラフラとその列車に乗り込んだ。
列車はすぐに動き出した。
中は雰囲気の良いレトロな内装だった。
ふと窓の外をふと見ると、驚いたことに列車は空の上を走っている。
このままではもう降りられない。
列車の食堂車で佐藤は一人の青年に出会う。
真っ黒な光輪がまるで天使のように頭上に浮かんでいる黒髪の青年だ。
名前を神実(かんざね)ミズハというらしい。
ミズハは会話していると、今度は白い車掌服を着た青年がやってくる。
彼はこの機関車の車掌らしい。彼は言う「星屑鉄道にようこそ」と。
ミズハと車掌の二人に話を聞くと、この星屑鉄道は迷いや悩みがある人の元にやってくるようで、悩みを解決しないと降りることができないらしい。
佐藤は二人に悩みをこぼした。「部下と上手くやれていない」と。
「自分は課長になって、若い部下もいる。彼らと仲良くなりたいのだが、近づけば近づくほど離れていく気がする」
「若い世代とどう接したらいいのかわからない。自分が上司にしてもらったように、職場での信頼関係を築くために飲みに誘ったりした。しかしそれがとにかく不評で、わたしがパワハラ気味だと噂されているのも聞いた」
同世代と話し合っても「若いもんの気持ちはわからん」「令和の社会人は薄情で軟弱だ」と傷を舐め合うだけでいつも終わってしまう。
職場の信頼関係を今の若者は必要ないと思ってるのだろうか。
とこぼす佐藤に白服の車掌は言う。
「職場より大事なものがあるんじゃない?」
「仕事なんて今は合わなかったら変えていく時代なんだし」
「仕事に命を懸ける時代は・・・終わったのか」
と佐藤はつぶやく。
「じゃあ、どうすれば・・・」
すると今度はミズハが言う
「距離が近すぎても不和が生まれる」
「近づくと離れられるのならば・・・距離を詰めなければいい」
「相手から距離を縮めてもらえるようにする。・・・たぶん、それがいい」
尊敬されるようになれば、自然と和が作れる。輝ける者には、みんなが引き寄せられるはずだと。
そうしてみたいけど、部下に構わないでいて冷たい人間と思われないだろうか。
自分磨きの間、それが心配だと漏らす佐藤に車掌は言う。
「人間を構う分、仕事を構ってやりなよ」
「仕事に対して熱いところを見せればいいじゃん。そうすれば、距離も取れるし熱さもアピールできるし、自分磨きもできる。一石三鳥だ」
上手くいくだろうかと疑問はあるが、やってみるしかないと佐藤は心に決める。
「わかった。やってみよう」
佐藤の決意が固まると、それを歓迎するように汽笛が鳴り、星屑鉄道は徐々に高度を下げていった。
気が付くと、自宅の最寄り駅についていた。
「明日から頑張るか」
翌日から仕事に没頭した。
部下が困っていそうな時にだけ声をかけて、無理に距離を詰めないようにした。
もちろん仕事の後に飲みにも誘わない。
後にネットで調べたことだが、若い人は業務時間外で上司に会うのを嫌うとのこと。
給料が発生しないのに、なぜ仕事の付き合いをしないといけないのかというのが言い分らしい。
確かにその意見も一理ある。
自分の部下には嫌な気持ちを抱かせないように、自分の仕事に没頭した。
フォローが必要な時だけ部下の面倒を見、プライベートに踏み込まないよう、発言に気を付けた。
最初は不安と孤独だったが、徐々に慣れ、半年後にはそれが当たり前になっていた。
そしてある時、部下の一人が資料を確認してほしいと佐藤に声をかけてきた。
その部下は今まで佐藤に話しかけることがなかったため、なぜ自分を頼ったのか聞いてみた。
すると部下は言う。「近頃佐藤課長から頼りになりそうなオーラが出ている」と。
そして最近の佐藤課長は他のみんなからも一目置かれている。カッコいいと言われていることを聞く。
それを聞いて佐藤は思うのだった。
無理に距離を詰めなくても、自分がちゃんと輝けば、自然と部下はついてきてくれるのだと。
<まとめ>
人との距離感に悩む人は多いと思います。
職場での上司と部下、同僚同士の関係や学校での先輩と後輩、同級生との関係もそうです。
こういった同じ組織における人間関係では、お互いに信頼関係があった方が何事もスムーズに進むことは間違いないと思います。
しかしこの信頼関係をどう構築するのかはとても難しい問題です。
信頼関係を築かないといけない、仲良くならないといけないと思い込んでしまい、無理に距離を詰めようとするのは誰でもやってしまいがちだと思います。
それもこの佐藤課長のように、「自分が上司にこうやってもらったのだから」と自分の価値観で突っ走るように。
最初は関係の作り方に失敗することもあるのは仕方がないと思います。
相手の価値観や考え方に合わせて関係を作ろうと思っても、なにせその考え方や価値観がまだわからないのだから、相手に合わせるのは困難です。
大切なのは「近づくと離れられるのならば・・・距離を詰めなければいい」と佐藤課長が助言を受けたように、上手くいかなかったら、方法を変えてみることです。
方法の一つとして、この物語で出てきた「輝ける者には、みんなが引き寄せられるはず」というのは、特に仕事においては効果的な考え方ではないかと私は考えています。
真摯に仕事を打ち込むように心がけていれば、こちらが余程周りを拒絶するような態度を取っていない限りは、徐々に相手は自分を信用してくれるようになってきます。
学校でも勉学や部活に真剣に打ち込んでいれば、周りは関心を持ってくれます。
ただ仕事の関係と違い、そこから友人になるためには、こちらから近づくことも必要ではありますが。
また、信頼を得ることは、「好かれる」というのとはまた違います。
262の法則というものがあるそうで、どんな組織にも自分に対して「好意的な人2割・どちらでもない人2割・好意的でない人2割」いるみたいです。
真剣に仕事をしていても、2割は自分に好意的でない人はいるものです。
でもその2割の人と仕事をすることになっても、仕事である以上は相手も普段頑張っているあなたを認めている部分はきっとあるでしょう。
もし上手くいかなくなっても、普段の仕事への取り組みを見ている周りの職員がフォローに入ってくれることも出てくると思います。
関係の作り方に限らず、今の人間関係に悩んでいるあなた。
まずは目の前のことに真剣に取り組んでみましょう。
そして光あるところに人が集まるように、あなたが輝きましょう。
『星屑鉄道の鉱石カフェ』は夜空を駆ける不思議な汽車にて、死神、堕天使、賢者の3人が悩める人間たちに力を貸してくれるお話です。
鉱石カフェとタイトルにあるように、鉱石を模した素敵なスイーツも登場します。
鉱石の持つ特性と、悩める人たちの境遇や生き方が上手く結び付けられている面白い物語です。
最後にはこの星屑鉄道の正体や、なぜこの3人が人間を助けるのかが、明かされます。
気になった人はぜひ読んでみてください。